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小売業・飲食店におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の進め方 ~背景編~

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■ 近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)における背景

 コロナの状況により、対面形式での営業スタイルは止めざる負えなくなり、オンラインの導入を急ぐ企業がほとんどだろう。しかし、細かく見ると、コロナの影響によって業績を伸ばす企業と落ちる企業に分かれており、その中でも落ちているのが、小売業や飲食店等である。ビジネスモデルの中で対面を重視するこのふたつの業態は、コロナの影響を直に受ける訳であるが、実はDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組み、今回のコロナを起点にというよりかは、コロナを機に加速したというのが正しい見解であろう。

 私もつい最近まで、DX関連のPJを複数行っていた。例えば、まさに小売業におけるDX(リテールテックとも呼ばれる)戦略を検討するプロジェクト、食品メーカーのマーケティング分野におけるDX戦略立案を行うプロジェクト等が挙げられる。なぜ、コロナの前から各社が検討していたかというと、まず題名にあるように小売業について説明する。

 小売業といっても現在は幅広く、コンビニ(CVS)、スーパー(SM)、総合スーパー(GMS)、ドラッグストア(DgS)、百貨店、専門店等が挙げられる。このように、顧客のニーズに合わせるために、数多くの業態が生まれてきた(顧客のニーズが先か、業態が先かについては割愛する)が、GMSや百貨店は低迷傾向にあることやコンビニでは、ロングセラーが生まれづらくなっている。これは、消費者の購買行動が多岐にわたることやマーケティングとしてのデータ取得に難易度が高いことが挙げられる。

 まず、消費者の購買行動は、マーケティング3.0と提唱されたりもするが、機能的価値から情緒的価値へ、そして経験価値が求められるようになり、それは製品やブランドによって異なり、消費者の購買行動を特定することが難しくなっているのである。また、それに拍車をかけるように、小売業は購買者の属性情報を取得しづらい。POSでは店員の予測によって入力されるが、それと商品情報と紐付けて商品分析や顧客分析を行うことは無く、分析するための指標が欠けているのだ。それを解消するために考えられたのが、PontaカードやTカード等のポイントカードである。予め登録された属性情報からデータ分析を行い、マーケティングに活かしていく。しかし、全体の購買者に対して、Tカードの保有者やPontaカードの保有者は少なく、データの信頼性が低くなりつつある。

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デジタルを活用した小売業

 このような課題から、今後の消費者行動を予測することや必要データを取得して、マーケティング分析を行えるような取り組みとして、ここ数年DXを検討するようになってきている。例えば、顧客の店内における動線をカメラで撮影し、デッドスペースがないかどうかを確認したり、キャッシュレス決済を導入することにより、属性情報と商品情報を取得できる他、他のカテゴリでは何を買っているのかを把握できる等、究極的にはAmazon Goのような無人化された店舗等。(もちろん、人口減少や省力化の観点からもDXの取り組みは進んでいる)

 次に飲食店ではどうだろうか。こちらも同様にマーケティングを行う土壌づくりに、DXの取り組みが検討されていたのは、コロナ前からである。但し、コスト等の観点から本気で導入する企業は少ないものの、PoC等を行っているケースは見受けられた。例えば、飲食店ではオリンピック開催を見越して、キャッシュレス決済に加えて、スマホオーダーというサービスを取り入れる企業は、少なからずいた。居酒屋でタブレットを用いて注文するケースがあると思うのが、それを自身のスマホで行うという仕組みである。これは、企業によって異なるが、スマホからの注文により、属性情報と商品情報が紐づけることができる。特に、居酒屋では、まとめて支払いをすると、誰が何を注文したのかが分からなくなる。しかし、各々のスマホで注文すれば、何を頼んだのか、団体の年齢構成なども正確に把握することができるようになる。かつクーポン等、従来は飲食店では不特定多数でのコミュニケーションしかできなかったのが、個に合わせたOne to Oneマーケティングができるように、マーケティング効率を高めることができるようになる。このような背景から飲食店でも、DXの取り組みが検討され始めていた。

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デジタルを活用した飲食店

 そして、消費者の観点では、経験価値を求めるようになった消費者に対して、小売業や飲食店は、リアルでの価値を重視してサービスを提供してきた経緯があるが(飲食店でのオンラインでの経験価値とは非常に難しいと思うが、宿泊業ではオンラインでの疑似体験が人気を博している)、コロナを機に経験価値をオンラインでも実現する方法を今後は求められるであろう。

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旅館の疑似体験

 

■ コロナによる小売業と飲食店のDXへの位置づけについて

 このようにコロナにより、検討されていたものが加速して、実行へと移行しているのが現状であるが、各社はまず自身の事業戦略やDXの取り組みについて、現状把握を行う必要がある。

 まず、小売業から説明すると、小売業では

  ①ECを保有していない小売業、

  ②ECを持っているが、リアル店舗と独立して運営している企業、

  ③ECとリアル店舗が連携している企業の3つに分けることができるが、

このDXにおける取り組み状況に応じて進め方を変えなければならない。また、リアル店舗の位置づけも検討する必要があるだろう。これによって、自社のビジネスモデルを再検討するということになるわけだが、オンラインでの売上があがるにつれて、店舗をECと対等に見るのか、一時休止という観点でみるのか。もしくは、リアル店舗を聖地化(ショールーム化)させて、ブランド構築の一貫として活用する等、様々な役割を検討できるのである。このようにECとリアル店舗との連携を検討して、各販売チャネルの役割を考える必要がある。

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ECとリアル店舗の連携(ニトリ)

 次に、飲食では以下のような観点で考える必要がある。

  ①リピーターで支えられている飲食店

  ②新規ユーザーの割合が大きい飲食店

 おそらく、多くのコンサルタントはすぐにリピーターを増やせと何でもかんでも提案すると思うが、一概にはそうではなく、当然ながら立地や客の流れによって顧客構成を考える。しかし、コロナの影響を受けてはそうではなくなってくる。例えば、コロナによりテイクアウトを行う飲食店が増えたが、ここでなんとか少しでもテイクアウトでの収益を得られるのは、リピーター客が多い飲食店である。一方、新規顧客メインで展開してきた飲食店はこういった状況においては不利である。つまり、結局かとなってしまうが、リピーターがいるというのは、飲食店にはとっては重要な要素ではある。

 

■ 最後に

 このように小売業や飲食店について、DXの取り組みを行っていくことは、今後重要な取り組みになってくる。特に、消費者が今までデジタルのハードルが小売業や飲食店では高く、進んでこなかったが、これを機に消費者の購買行動も変わってくるため、それに対応したビジネスモデルや業務フロー等を改めて検討し、再構築していく取り組みがなされ、かつそれによってOne to Oneマーケティング、OMOマーケティングを実現させ、売上拡大にもつなげていくことが、生き残り戦略において重要なことだと考えられる。

 次回は、具体的に小売業と飲食店において、どのようにDXを取り入れるべきなのかについて、進め方を説明していきたいと思う。